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医療ニュース 2008/11/27

一審に続き二審でも... 小児科医の過労死、損害賠償請求を棄却

小児科医の中原利郎氏の過労自殺をめぐる民事訴訟で、東京高裁は10月22日、損害賠償請求を棄却するという判決を言い渡した。判決では、一審では否定された業務の過重性を認定し、過重な業務と中原氏のうつ病の発症には因果関係があるとした。
しかし、中原氏がうつ病にかかることを予想することは困難であり、安全配慮義務ならびに注意義務を怠ったとは言えないとして、病院側の責任は認められなかった。
1999年、小児科医の中原利郎氏が過重な勤務からうつ病になり、勤務先の病院屋上から投身自殺したのは、病院が安全配慮義務を怠ったためであるとして、2002年に遺族が病院を相手取り損害賠償請求訴訟を提起した。
この訴えに対して2007年3月、東京地裁は原告の訴えを棄却(関連記事)、これを不服として遺族が控訴していた。遺族が労災認定を訴えた行政訴訟ではすでに勝訴が確定しており(関連記事)、行政訴訟とは異なる判決となった。
記者会見の席上で故中原氏の妻のり子さんは「夫の勤務状況は今まさに問題になっている『名ばかり管理職』だった。夫には残念な結果だとしか報告できない。昨年の行政訴訟とは全く逆の判決となり、司法に対して不信感を持った。
判決文をよく読んで、控訴するかを検討したい」と語った。
原告側弁護団の弁護士、川人博氏は「中原氏の業務の過重性が認められ、勤務状況とうつ病に因果関係があると認められたことは一審から前進したと思う。しかし、病院側の責任が認められなかったことは到底納得できない。
このまま医師の過重労働が放置され、被害が拡大するのではないかと危惧している」と述べた。


(日経メディカルより抜粋)


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