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医療ニュース 2007/12/17

インフルエンザワクチンの有効性と安全性を知る

日本臨床内科医会は2000/2001年シーズンからインフルエンザ多施設研究に取り組み、数多くのエビデンスを蓄積してきた。その成果をもとに昨冬「インフルエンザ診療マニュアル」を作成、この冬には新たな知見を盛り込んだ2007-2008年版を発表した。その最新版をもとに、インフルエンザ診療のポイントをピックアップした。シリーズ最終回となる6回目のテーマは「インフルエンザワクチンの有効性と安全性」。
現行のインフルエンザワクチンは不活化ワクチンのため、有効性に限界はある。このワクチンはエーテル処理によってウイルス粒子の形態を壊したスプリットワクチンで、ウイルス粒子をそのまま不活化した全粒子ワクチンよりも副反応は少ない。反面、免疫原性が低下し免疫獲得率が低いとされている。本ワクチンはA/H3N2型、A/H1N1型、B型の混合であり、毎年の流行株予測を基に株が選定される。ワクチンの適応は、予防接種法で接種が勧奨されている人、すなわち65歳以上の高齢者、60~64歳で基礎疾患を有する人(心臓、腎臓、呼吸器、免疫機能不全など)である。医学的に接種が不適当な者を除けば、インフルエンザ発症と重症化を防ぎたい人すべて、特に重症化や合併症のリスクが高い人の家族や医療従事者らが、任意接種を考慮すると良いとされている。
なお、予防接種実施規則第6条が定める接種不適当者は、明らかな発熱(通常37.5℃を超える場合)を呈する人、重篤な急性疾患にかかっていることが明らかな人、予防接種液の成分によってショック、アナフィラキシーを呈したことが明らかな人、その他予防接種を行うことが不適当な状態にある人、となっている。ワクチン有効性が年々異なる可能性があるため、日臨内ではインターネットを使い、ワクチンの有効性に関する前向き研究を2001/2002年シーズンから本格スタートした1,2,8)。
本研究の参加医は、12月末までのワクチン接種者と、背景が似ている非接種者を事前登録する。そして4月末までに、被登録者のインフルエンザ罹患の有無や副反応の発現状況を報告している。その結果、日臨内研究では、接種群の方が非接種群よりもインフルエンザ発生率が低く、毎年ワクチンの有効性が示された(図6-1)。ワクチン非接種群よりも接種群の方が全年齢におけるカイ2乗検定で有意にインフルエンザ(迅速診断陽性者)の発生率が低く、ワクチンは有効だった。2001/2002~2005/2006年シーズンは年齢補正したMantel-Haenszel検定(図中括弧内)でも有意(p<0.001)に有効であることが認められた。


日経メディカルより抜粋


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